転職によるキャリアアップ事情

システムエンジニアがキャリアアップを目指して転職を考える場合、さまざまなメリットとデメリットが存在する。
メリットの一つとして顕著なのは、新たな技術や環境に触れる機会が増えることだ。IT業界の進歩は著しく、新しいツールや言語、開発手法が次々と生まれている。一つの企業に留まっていると、その企業の事業に関連する技術や知識しか得られない。しかし、転職することで異なるプロジェクトや仕事に携わり、新しいスキルを身につけたり、視野を広げたりできる。

また、給与アップや待遇の向上、より上のポジションに就けるなど、自分のスキルや経験を活かして好条件で働ける機会が得られることも多い。特に実力があり、今の職場では評価されていないと感じているシステムエンジニアは、自分の市場価値を正しく評価してくれる企業を探すことがキャリアアップへの大きな一歩になる。

だが、転職にはデメリットも付きまとう。
新しい職場での人間関係や、企業文化への適応だ。技術力が高くてもコミュニケーションが苦手なら、仕事に支障をきたすこともあるだろう。企業文化や働き方に馴染めない場合、ストレスを感じて仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性がある。

場合によっては、企業を転々とするのもマイナスに作用しかねない。短期間で何度も仕事を変えると、将来的に転職市場での評価を下げるリスクをはらむのだ。長期的なプロジェクトを持つ企業では、転職の経歴が多いと不利になることも考えられるだろう。
以上から、システムエンジニアがキャリアアップを目指して転職を考える際には、メリットとデメリットを考慮する必要がある。

人口が伸び悩む原因とは?

IT革命の勃発以降、システムエンジニアの人口は着実に伸びてきていた。人気が高くてこれから発展していくことが目に見えているIT業界で、システム開発を担う要員であるシステムエンジニアになれば将来は安泰で収入も高いという期待が持てたからである。現状としても採用は多く、収入も平均からすれば高い状態になっていて魅力が薄れたわけではない。

しかし、システムエンジニアの人口は伸び悩む段階に入ってしまっている。IT業界の発展は依然として続いていて、社会にとって欠かせないものになっているのは明らかだろう。そのため、ITに魅力を感じてシステム開発をしたいと考える人は現状としてもまだ多く、システムエンジニアになる人はいる。

ところが、退職をしてしまう人が多くなっているために全体としては人口が伸び悩んでしまっているのである。IT業界の職場では過酷な労働条件になっていることが多かった歴史があり、なおその状況が続いている職場も少なくはない。競争が激しい分野で開発を担うシステムエンジニアは時間を問わずに仕事をしなければならない状況に陥りがちなのである。それでもなおやりがいと考えて前向きに働く人も多いものの、スキルの要求が高くなっているのも退職を考えさせる要因になってきている。

一つのスキルがあれば活躍できるという状況ではなくなり、複数のスキルを有機的につなげて働けることが要求されるようになった。それをやりがいと感じるシステムエンジニアが生き残る業界となっていることから人口が伸び悩んでいるのである。